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経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書

経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書 経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書
山田 真哉

講談社  2011-12-16
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今年の大河ドラマは「平清盛」である。しかし放送開始当初は兵庫県知事が「汚い」と評価して物議を醸しただけではなく、内容も「難解」であるという批判もあり、視聴率も過去最悪となってしまった。ただ歴史学者などの識者には好評であることを考えると、「玄人受け」の大河ドラマといえる。
その大河ドラマで話題となっている「平清盛」だが、平安時代末期に絶対的な権力を持ったものの、わずか数年で瓦解することとなったが、その原因はいったいどのような物なのか。本書は「会計」「経営」の視点から失敗の本質について考察を行っている。

第一章「教科書にはない日宋貿易の真相」
平清盛の行った功績の一つとして「日宋貿易」が挙げられる。その中で「巨万の富」を得たと言われているが、実は平氏の崩壊の引き金となった。
本章ではその日宋貿易のカラクリと成立したいきさつについて述べている。

第二章「日本経済史歳大のミステリー、「宋銭」普及の謎」
さてこの崩壊の引き金となった「日宋貿易」で著者が着目したのが「宋銭」と呼ばれる物である。「宋銭」とは簡単に言うと、

中国・北宋代に鋳造された貨幣である銅銭のことである。また、宋代には鉄銭も鋳造された(辺境部である四川・陝西において、遼・西夏への銅の流出を防止するために、銅銭の所有・使用一切を禁じられて代わりに鉄銭が強制的に流通させられたため)が、一般的には、圧倒的に多い銅銭のことを指して宋銭と呼んでいるwikipediaより)」

である。その宋銭を流通させて、経済を発展させることにより平家は財政的な観点から支配をしようと目論む。その結果「宋銭」に対する信用を得ただけではなく、通過普及や通貨偽造といった善悪双方の側面から通貨普及の草分けとなった。

第三章「平家滅亡の真犯人、そして清盛の「失敗」」
しかし、平家は「宋銭」普及からわずかの間で滅亡の道をたどっていった。源氏との「壇ノ浦の戦い」によるものだが、それ以前に平家に対して不満分子がくすぶっていた。その原因は「宋銭」であった。
ではなぜ「宋銭」が引き金となったのか。それは「宋銭」そのものの輸入をするためのルート、そして季節風により時期が限られていることにある。さらに深く問いつめていくと「通貨のコントロール」と言うのがそもそもできなかったといえる。

第四章「経営者・平清盛」
平清盛が宋銭の政策を実行し、日本で初めて銅銭が流通したことは前章まで述べたのだが、清盛が行った政策はそれだけではない。本書は「日本」そのものを経営する「経営者・平清盛」として伊勢・博多・薩摩・神戸の4カ所で行った改革について取り上げている。

大河ドラマ「平清盛」は現在も放送中であり、平清盛に関する本は様々なところで取り上げられているが、毎年の様に歴史上の人物が注目を集め、それに関する書籍も出てくる。ある種一過性の「ブーム」である様相だが、あくまでそれを「ブーム」で終わらせず、様々な観点から触れ続けることにより、歴史も歴史上の人物がおもしろくなる。本書は誰も見ることのなかった「会計」の観点からとらえているところにユニークさがある。

日本脱出~この国はあなたの資産を守ってくれない

日本脱出 この国はあなたの資産を守ってくれない 日本脱出 この国はあなたの資産を守ってくれない
午堂 登紀雄

あさ出版  2012-04-23
売り上げランキング : 375

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午堂登紀雄様より献本御礼。
ギリシャを発端とした「ヨーロッパ危機」が止まるところを知らない。かく言う日本も「失われた10年」と呼ばれた時から赤字が急速に膨らみ、今や「デフォルト宣言」も現実味を増してきた。そのような状況のなかで昨年3月には「東日本大震災」もあったことが追い打ちとなり、経済の閉塞化も止まらない。先日「資産フライト」にも書いたのだが、日本の円を海外の口座に預ける人も富裕層ばかりではなく、年収500万円のサラリーマンにもいるのだという。
本書はその時代が止まらないことを想定して自らの資産をいかにして守るために「日本脱出」のすすめを紹介している。

第1章「受難の時代に備える―あなたのお金がどんどん吸い取られている!」
政府の消費税議論が止まらない。それだけではなく、所得税の控除額の廃止や相続税の増税、国民年金の給付金減少、給与や雇用減少、さらには放射能や災害など、日本人は様々な「リスク」と隣り合わせで生きている。「リスクに背を向ける日本人」という本があるように、日本人はリスクを忌避する傾向にあるのだが、忌避をすればするほど逃げられない状況に陥ってしまう。
しかも「投資」を行うにしても、日本人にはそういった「金融リテラシー」や「投資リテラシー」といった「お金」を学ぶ機会を得る場は限られており、かつ「お金をもうけることは悪」という固定観念、あるいは本書で言う「お子さま投資家」「お子さま債権者」が蔓延っている現実もある。

第2章「日本経済、終わりの始まりに備える」
「何が起こるかわからない」
そういった状況の中で、財政破綻も、世界的な大恐慌も有り得る。そのような状況は予測できる・できないもあるのだが、それ以前に予想外のことも起こりうる。

第3章「日本脱出計画―「攻撃」の戦略」
そのような状況の中で本章と次章の2章に分けて日本脱出計画を紹介する。
本章では「攻撃」的な観点ということで、「脱藩」や「永住」「オフショア」など本書の通りあるように物理的に日本から脱出する必要性や方法について取り上げている。

第4章「日本脱出計画―「防御」の戦略」
今度は「防御」の観点から、日本に出ず、フリーランスになる、複数の収入源を持つ、引っ越す、副業するなどのススメを紹介している。

著者の本はこれまで当ブログでもいくつか取り上げているが、本書ほど「異色」に感じたことはない。しかしそれを書かなければならないほど日本と日本人は危機にさらされているといえる。本書は「対策」だけではなく、同時に「警告」と呼べる様な一冊と言える。

秋竹朋子の声トレ!~一瞬で魅了する「モテ声」と「話し方」のレッスン~

秋竹朋子の声トレ! ~一瞬で魅了する「モテ声」と「話し方」のレッスン~ (ワニブックス 美人開花シリーズ) 秋竹朋子の声トレ! ~一瞬で魅了する「モテ声」と「話し方」のレッスン~ (ワニブックス 美人開花シリーズ)
秋竹 朋子

ワニブックス  2012-02-03
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ビジネスどころか社会人生活の中で「声」を発さない日は珍しい。プレゼンに限らず、上司・部下、さらには同僚たちとの認識あわせや役割決めなどで「声」を使う機会はいろいろとある。
しかし仕事やビジネスに関して「声」が重要であることはあまり知られていない。しかし著者は声について「生まれつき」ではなく、「鍛えられるもの」、そして声はビジネスにとって第一印象と同じように大切なものだという。
本書はその重要性と呼吸法や声の出し方について伝授している。

PART1「声がいいとモテる!? 声の重要性」
「モテ声」がブームを巻き起こしている。そうでなくても女性は男性に対し「異性」として意識するときも「声」が重要であり、かつ「メラビアンの法則」でも「第一印象」の一つとして「声」を挙げている。
しかし「声」は顔などの見た目と同じく生まれつきで鍛えようがない、という意見を持つ人がいることだろう。
だが著者に言わせれば、これは間違いであり、鍛え勝たし大で声を変えることができるという。次章以降では具体的なトレーニングに入るがここでは概要と今の傾向をチェックしておく所である。

PART2「美声への第一歩は、まず呼吸法」
演奏をするにも、歌を歌う、もしくは話すにも「呼吸」はもっとも重要な要素である。そこで本章では複式呼吸と胸式呼吸の違いと、発声などについての方法を伝授している。

PART3「顔の筋肉と舌をやわらかくする」
滑舌と表情を作るのが苦手な方がいる。本章では顔のストレッチや舌のトレーニングを写真とともに紹介している。

PART4「声の高低をコントロールする」
声の高さも相手の印象の善し悪しを決める一つの要素であるという。また時と場合によって使う声のトーンや強さも違ってくるため、声の高低や強弱をコントロールする事も重要である。
本章では「モテ声」である音域を学ぶとともに、その声にするためのトレーニング方法について伝授している。

PART5「滑舌と表現力を鍛えて愛され声に!」
最後は表情などの筋肉ではなく、むしろ「発声」を中心としたトレーニングである。愛嬌のある話し方、表現、セリフなども紹介している。

ビジネスの上で「声」は大切なことである。しかしこの「声」のトレーニングは他のスキルと同じように練習し続けることが大事である。大事であるがどのようにトレーニングしたら良いのかを伝授しているのが本書である。

大学生のためのドラッカー2 就職活動編

大学生のためのドラッカー2 就職活動編 大学生のためのドラッカー2 就職活動編
松本健太郎

リーダーズノート  2011-11-30
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一昨年に「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら(通称:もしドラ)」が大ブームを巻き起こし、様々な企業や団体で「ピーター・ドラッカー」の手法を実践している所も出てきているほどである。
その「ドラッカー」の手法を用いて大学生に向けて就職活動や大学生活に関してアドバイスを行っている方がいる。
それが著者であるが、本書はその中から就職活動におけるアドバイスを伝授した一冊である。

第1章「なかなか内定が出ない就職活動中の大学生に、ドラッカーは、「何になりたいか、何を投じて何を得たいか」と言った。」
就職活動は個人差によるが、希望の会社・業界に内定を得るための活動であり、1ヶ月足らずで終わる人もいれば、1年以上かかる人もざらにいる。
ちなみに私は半年以上かかった身であるが、その中で住まいである小樽から、就職先である札幌を往復する、また月に一度は東京に行くこともあった。昼ご飯は日によるが、貧乏であった私はよくマクドナルドのマックポークを食べていたことを思い出す。時々マクドナルドにいくときは必ずこれを注文する。
私事はここまでにしておいて、就職活動の時によく考えることとして「会社とは何か」「働くこととは何か」という疑問にぶち当たることがしばしばある。私も就職活動の道中、歩きながら禅問答の如く問い続けたこともある。
本章ではそのあり方だけではなく、「成長」「プロフェッショナル」などドラッカーの本でもよく出てくる言葉も出てくる。

第2章「なぜ俺の言う通りにできないのかと苛立つ大学生に、ドラッカーは「リーダーに必要なのは、真摯さである」と言った。」
就職をしたら当然のように特定の「組織」に属する。一定の結果と経験を積むようになったらその「組織」を動かすリーダーとなる。またさらに経験や実績を積むと「組織」の規模も大きくなる。
本章ではその「リーダーシップ」についてドラッカーの言葉とともに紹介している。就職活動中、もしくはそれより前の大学生を対象としているため、「リーダーシップ像」について具体的にとらえられていない、もしくは想像できない人も多い。もし想像できたとしてもドラマやマンガ出てくるような偶像くらいである。
リーダーになったらどうなるのか、自分自身リーダーになるにはどうしたらよいのかと言うことを連想しながら読んでおくと良いかもしれない。

GWを終え就職活動を終了した方、まだ継続中の方、あるいはこれから始めるかたそれぞれかもしれない。昨年・一昨年に比べて今年度は幾分厳しさは和らいでいるとは言え、依然厳しい状況が続いていることは確かである。その状況の中で大学生から「働く」「社会に出る」「ビジネス」などの意味を考える、というよりも理想像を構築・設計する必要がある。これは内定をもらうことが「ゴール」ではなく、「スタート」であるが、そのスタートラインに立つための準備として本書がある。社会人としてのスタートダッシュを切る、そしてゴールまでの道のりを明確にすべく示した一冊が本書と言える。

世界でもっとも阿呆な旅

世界でもっとも阿呆な旅 世界でもっとも阿呆な旅
安居 良基

幻冬舎  2009-11
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タイトルからしてインパクトの強い一冊である。

では中身はどうか。

おそらく「旅」にまつわる本の中でも、色々な意味「最強」に無類する一冊である。もしくは「最高」に無類する一冊と言える。

色々な意味で「最高」「最強」であるが、TVでは決して放送の出来ない一冊であり、ブログやSNSでも中身を詳しく紹介の出来ない「旅」の一冊である。ましてやあまりにも「最強」かつ「最高」過ぎるため決して電車やバスなどの公共交通機関では絶対読んではいけない。

家でおとなしく本書を読んだ方が良い。そう言える一冊である。

一度読むとあまりの「最強」「最高」ぶりに(別の意味で)衝撃を受けてしまう。

USTREAMがメディアを変える

USTREAMがメディアを変える (ちくま新書) USTREAMがメディアを変える (ちくま新書)
小寺 信良

筑摩書房  2010-11-10
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最近では動画サイトの生放送やダダ漏れが広がりを見せており、TVでは放送できないようなもの・内容も放送されているだけではなく、ヴァリエーションもTVでは収めきれないほど広いジャンルの放送が行われている。その役割には今月始めにサービス総称を変更した「niconico(ニコニコ動画)」や本書で紹介される「USTREAM(略称:ユースト)」がある。
本書は世界的にも注目され、かつこれからのメディアのあり方を変える(もう変えているか)USTREAMの世界とこれからの課題について現状とともに追っている。

第1章「ユーストリームという世界」
「USTREAM」が誕生した歴史から説明する必要がある。
「USTREAM」は2007年にアメリカにて生まれた動画サイトであるが、YouTubeとは違い生放送を中心とした動画サイトであった。日本に上陸し、使われるようになったのは2009年頃からであるが、そのころには友人の美崎栄一郎氏が出版企画そのものを「ダダ漏れ」する企画を行った時である。
その生放送サイトは派生してスティッカムやニコニコ生放送になり、既存メディアを凌駕するほどにまでなった。

第2章「ユーストリームの可能性」
少し前に強制起訴の罪から無罪確定し、今となってはまた権力奪取に意欲を燃やす小沢一郎氏が会見やインタビューの場にニコニコ生放送を選んだのは周知の事実である。
その大きな理由として既存メディアに帯びている思惑や記者そのものの態度などが癪に障ることがあるのかもしれない。
それはさておき、「生放送」はリアルタイムで色々なことを伝えるツールと言えるが、公序良俗に反するものも放送できるという負の側面も存在するのだという。

第3章「ユーストリームとツイッターの相乗効果」
USTREAMで放送されることによってTwitterを使って意見をすることが出来る側面もある。ニコニコ生放送ではTwitterを使わずしても直接コメントが出来る所がある。生放送をすることとリアルタイムで意見を聞くことが出来るため、放送効果も高い。それだけではなく、最近ではスマートフォンが急速に拡大しており、電波の届くところであればワンセグよりも便利に生放送を見ることが出来る。
しかしUSTREAMには負の側面としてあるのが「当日しか見ることが出来ない」ところにある。ニコニコ生放送はその欠点を補うため「タイムシフト視聴」も取り入れられているが一定期間しか見ることが出来ないため、完全に負の側面を克服できた訳ではない。

第4章「ユーストリームがビジネスを変える」
とはいえ既存のTV番組やCMよりも制作費用は機材費用のみとなるためぐっと安くなる、機材費用を自前で用意できるなど、場合によっては費用のかからないため、費用対効果が既存メディアと比べて歴然としている。そのため、プレスリリースや製品情報やイベント開催など、マーケティングツールとして大きな役割を担うことが出来る。

第5章「ユーストリーム番組制作のポイント」
ではUSTREAMなど動画の生放送をするにはどうしたら良いのか、という方法のポイントがわからない。本章ではポイント程度であるが、アドバイスを行っている。事実USTREAMでの番組制作補助を行う業者も出ているかどうかはわからないが、無かったとしてもいずれその業者は出てくるだろう。

第6章「ユーストリームがテレビを殺す」
東日本大震災が起こったとき、生放送のツールとしてUSTREAMを使用した事例もある。TV回線が使えない中でインターネットを経由したUSTREAMを利用して、ニュースを見たという人もいた。
ましてや地上波TVでは見ることの出来ない番組やジャンルをUSTREAMやニコニコ生放送を見ることができ、かつ既存メディアでは「テレビ離れ」を増長しいてしまっている。

第7章「横たわるユーストリームの課題」
とはいえUSTREAMなど動画生放送をする際の問題点も存在する。現在でも動画共有サイトで横たわっている音楽などの「著作権」もあれば、プライバシーにより写してはいけないという「肖像権」も存在する。その両方の権利を承諾する、もしくは肖像権の場合はモザイク処理をすることによって初めて安全に放送することが出来る。
また一度放送したものも著作権が存在しており、許可無く「二次著作物」が作られる可能性があるため、権利者の立場で著作権も知る必要がある。

USTREAMはメディアそのものを破壊するのか、それとも新たな創造なのか、あるいはその両方を担うのか、発展している現在でもまだ未知数と言える。USTREAMも含めて動画生放送は一大メディアとして台頭するのか、もしくは泡沫の夢と消えてしまうのか、それは動画生放送サイトだけではなくそれを使う番組制作者や視聴者の考えに委ねられている。

劣化する日本 再生への10のシナリオ

劣化する日本 再生への10のシナリオ (ディスカヴァー携書) 劣化する日本 再生への10のシナリオ (ディスカヴァー携書)
BSフジ・プライムニュース

ディスカヴァー・トゥエンティワン  2012-03-26
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日本には様々な問題を抱えている者の、それらを解決に向けて動いているとは言いにくい。もっとも政府は政権の奪い合いや増税などのせめぎあいばかりに集中し、それ以外の政策や対策などを打つ暇がないほどである。対策が後手後手に回っていくうちにそれらの問題はもはや危機的な状況に陥っている。だからでこそ本書の最初に「手遅れは許されません」と書かれている。
本書は「BSフジ」と呼ばれるBSデジタル放送で「BSフジLIVE PRIME NEWS」が昨年10月24日~11月4日の10日間にわたって特集した「日本再建への10のシナリオ」にて10のシナリオそれぞれに識者がインタビュー、もしくは対談形式にて問題と解決方法を提言している。

シナリオ1「少子高齢化ー悲観せず、強みとして生かそう」
日本の平均寿命が延び、かつ出生率が現象の一途をたどっていると言われて久しい。最新の統計を見ると若干出生率が延びているため、少子化は幾分和らいでいるようには見える。その少子高齢化を憂いては仕様がない。
本章では「生めよ、殖やせよ」ではなく、少子高齢化時代からでこそ日本にある「強み」を生かすこと、日本人のあり方を考えることを提唱している。

シナリオ2「社会不安―安心・安全社会は雇用の安定から」
日本人はつくづく安定やノーリスクを求める民族である。雇用や景気などが良くも悪くも「不安定」な状態となるととたんに騒ぎだす。
その社会不安解消の一つとして「雇用の安定」や政治に対する信頼を取り戻すシナリオ策定を提言している。

シナリオ3「社会保障―社会保障改革で日本を元気に」
社会保障は昨今から叫ばれ続けており、シナリオ1の「少子高齢化」とともに問われている者であり、かつ人口減少を見ると共通している。
本章では年金や福祉などの「社会保障」のあり方について提言を行っている。

シナリオ4「エネルギー―地球規模の視点を忘れるな」
おそらく本書のなかでもっともホットな分野といえる。夏頃になると関西電力などを中心に電力不足に陥っており、さらに原発事故に対する不信感も強く「反原発・脱原発」などの動きも見せている。
しかしそのエネルギー政策も「太陽光」などの自然エネルギーにシフトしつつあるが、生産にも限界が生じており、「八方塞がり」とも言える状況にある。
本章では世界的変化を中長期的に認識し、あらゆる変化に対応しながら攻めていく姿勢を提言している。

シナリオ5「財政危機―増税や年金減額などの「苦い薬」も必要」
おそらく政治的な関心の一つとして「増税」がある。ギリシャや西欧諸国では財政危機が叫ばれている中、日本も他人事ではなく、借金自体1000兆円前後あり、いつ財政崩壊してもおかしくない事態と言える。
本章ではその財政危機対策として「国民にも痛み」を持つのを知ること、さらに市場そのものの恐ろしさを知ることを提言している。

シナリオ6「成長戦略―危機こそ成長に向かうチャンス」
バブル崩壊以後、日本は「低成長」の時代が続いている。その中でも「マイナス成長」になったときもあり、急成長を続けている中国に追い抜かれ、さらにインドやブラジル、ロシアも迫っている状況に陥っている。しかも前までのシナリオから見て危機的な状況に陥っている。
本章ではその危機を脱する対策について提言を行っている。

シナリオ7「外交・安全保障―正しい歴史観・国家観を持て」
政府や国家がもっとも取り上げるべきことであり、かつ政府や国家でしか取り組めないのが「外交」であり「安全保障」であると考える。民間でできること、もしくは地方にできることはそれぞれに任せておいた方が良いにも関わらず、国に頼ろうとしている所も否めない。
それはさておき、本章では国が担うべき根幹である外交や安全保障政策について歴史観や国家観を持つことを中心に提言している。

シナリオ8「国と地方―国に頼らない自治体を創る」
おそらくメディアは地方自治にまつわることを中心に語られているようだ。その渦中にいるのは大阪市長の橋下徹氏である。橋下氏の政治手法について賛否両論はあれど、「改革」をするうえで必要な方であることには間違いない。
国に頼らない自治体づくりは震災以降急務になりつつあるが、その地方自治体のあり方について本章では補助金や自立などの提言を行っている。

シナリオ9「教育―日本人としての立ち位置を定める」
教育問題もまた政治・民間など様々な所から関わる問題の一つである。近年は「学力低下」が叫ばれている中、日本の教育はどこに向かうべきか、本章ではアイデンティティや経済・金融教育を中心に提言をしている。

シナリオ10「政治とリーダーシップ―政治家に必要な三つの力」
「今の日本の政治家にリーダーシップがない」
とどこかで聞いたかわからないが、そういった声があるほど、日本の政治家への信用度が低い。それどころか新聞やTVから出る支持率を窺うばかりである。
では日本の政治家に必要な力はどのような物があるのか、本書では「三つの力」として提言を行っている。

最初にも言ったとおり本書は「BSフジLIVE PRIME NEWS」の特集として10日間にわたって取り上げたものを書籍化した一冊である。その特集が組まれる中で「本来ある番組の姿」に対して疑問を持ち、自らの番組を「発信・提言」の原点を見直して取り上げられたのだという。政治や経済、社会に対する提言についての関心を募らせただけではなく、「番組の使命」などにも触れた一冊であった。

震災と情報――あのとき何が伝わったか

震災と情報――あのとき何が伝わったか (岩波新書) 震災と情報――あのとき何が伝わったか (岩波新書)
徳田 雄洋

岩波書店  2011-12-21
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震災にまつわる本で何度も取り上げていたが、2011年3月11日に三陸沖を震源としたM9.0の大地震が起こった。その地震と大津波により約16,000人亡くなった(不明者もいるため、さらに増える可能性が高い)。最大震度5強の強い揺れに見回れた東京でも、携帯電話やメールが繋がらなくなり、連絡を取るにも一苦労した人も多かった。その中でSNSは大きな活躍を得て、それにより無事帰った人、もしくは避難した人、会社で一泊した人とそれぞれいた。
本書はその震災から1時間、1日とそれぞれどのような状況だったかを考察すると共に、自分自身も当時どのような状況に置かれ、考えたのかも明かそうと考える。

第1章「最初の1時間 どこへ向かうべきか」
地震当時、私はオフィスで仕事をしていた。その仕事をしていた最中に縦に叩きつけられるような揺れが起こり、そこから本来ある横揺れの地震が起こった。その横揺れの幅が時間が経つにつれ広がり、建物が崩れるのではないか、という感覚に苛まれるようになった。その中で必死に自分の仕事用のパソコンを支え続けたのも今でもはっきりと記憶に残っている。
ようやく揺れが収まったのもつかの間、わずか10分後に緊急地震速報が入り、また最初の揺れに匹敵するような大きな揺れに見回れた。そこから仕事は完全に中止。テレビやインターネットを駆使して地震情報を得たり、地震によって割れたガラスや散らかったものの掃除に当たった。
しかしそこから20分もしないうちに再び大きな揺れが起こった。ここまできたら「この世の終わりか」と本気で思いさえした。そこでようやくおおきな揺れが収まり、この日の仕事はここでストップし、オフィスの掃除にあたった。
私事の続きは第2章に続けることにして、最初の1時間、地震と津波が東北・関東を襲う直前の顛末を写している。

第2章「最初の24時間 連絡が取れない中で」
私事の話に戻る。
オフィスの清掃が終わった後、通常通り仕事に当たったが、JRは早々とその日の運転を取りやめているため、帰る手段は無かった。最後の命綱である私鉄も運転見合わせの状態であった。ちょうど23時頃にようやく私鉄が動く報せが入り、すぐさま私鉄に乗り、家路に向かった。しかし帰路の一つであれど、一度も歩いたことのない道だったため、道に迷い続け、ようやく家に帰ったのは深夜1時。皿などが割れるなど変わり果てた姿を想像していたが、奇跡的に本が多少崩れただけでほとんど無事だった。歩き疲れたため、その日はすぐさまベッドに就寝。しかし朝の5時に再び余震が起こり、そのまま目が覚めてしまった。
本書の話に移る。
震災・津波直後に福島第一原発では「炉心溶融(メルトダウン)」が起こり、その周辺にいる住人には避難指示が発令され、付近の住人は避難した。メルトダウンを起こした原発も地震・津波により電力や通信インフラの電源が失われ緊急連絡もままならなかった。

第3章「最初の1週間 避難すべきかどうか」
震災の起こった翌日はちょうど休みだったが、私の住んでいるところは「津波注意報」が発令していたため、迂闊に外に出られなかった。インターネットで震災にまつわる情報を収集したのと同時に義援金の寄付や、ブログやTwitterを使って震災に関する情報を伝えた。
そして翌週には「計画停電」などによる電車の本数削減もあり、いつも以上の混雑に見舞われた。通常通りの勤務とまではいかないものの、1週間もしないうちにいつもの「日常」に戻った。ブログも2日間、震災による情報を伝えるため書評を中止したが月曜日には通常通りに戻した。
本書に戻すが、その1週間で日本と海外のメディアの温度差は歴然だったという。私もインターネットを使って、震災にまつわる色々な情報を収集をしていたが、本章で紹介された通りである。主に原発事故を中心にかかれているが、それだけではなく震災の惨状も日本と海外の差は歴然としていた。

第4章「最初の1ヶ月 どんな説明がなされたか」
私の住んでいるところでは「計画停電」に見舞われ、それを行っている時間帯はオフィス近くのカフェやファーストフード店でポメラを使った書評や勉強などを行った。家に帰っても電気が使えなかったため、やることは寝ること以外に無かったためである。それが1ヶ月間同じような毎日であった。そう毎日のように出てくる緊急地震速報に怯えながらであるが。
本書の話に戻る。大震災から1ヶ月経つにつれ余震の数も減少していった。しかしその翌月にはまた大きな余震が何度か起こった。また放射能汚染もあり、東京を中心にスーパーマーケットではミネラルウォーターなどの品が品切れとなることも相次いだ。

第5章「最初の6ヶ月 だんだんわかってきたこと」
首都圏では震災の混乱はようやくおさまり、復興に向けて日本中が動きを見せている一方で、原発事故の傷跡は想像よりも遙かに深く、私のよく行く書店でも「原発事故」にまつわる書籍が乱舞した。
政府も復興や原発による対応から迷走を続け、世界的にも日本政府に対する不信感も高まった。復興ムードが冷めてしまった。

あの震災から1年経ち、教訓となることもあれば、自然の恐ろしさ、そして過去にやってきたことの愚かさを知らされることとなった。あの震災から何を学び、伝え、生かすか。私たち日本人はムードに惑わされず考える必要がある。本書は「情報」の側面から教えてくれる。

日本人の価値観 - 世界ランキングを読み解く

日本人の価値観 - 世界ランキングを読み解く (中公選書) 日本人の価値観 - 世界ランキングを読み解く (中公選書)
鈴木 賢志

中央公論新社  2012-01-06
売り上げランキング : 176526

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日本人の価値観とはいったいどのようなものか。
おそらく日本人ほどこの60年間で劇的に変わった民族はいないと言っても過言ではない。またバブルが崩壊したときも戦後間もないころから比べて振り幅は少ないものの変化は生じている。
では諸外国に比べて日本人の価値観はどのようなものなのか、本書では様々な「世界ランキング」をもとに考察を行っている。

第1章「国や政府に関する価値観」
愛国心や自国政府・政治・メディアに関する関心や犯罪どの司法にまつわる国際比較を行っている。
自国に対する誇りが少なく、政治への信頼もない、ましてや自国のために戦う関心が世界でもっとも薄いという。
自国の為に戦う人の割合がもっとも少ない理由は、おそらく「日本国憲法」の呪縛もあるのかもしれない。

第2章「人生に関する価値観」
人付き合いや人間関係、性格、ギャンブル、リスク回避など人それぞれの性格に関する統計について考察を行っている。そもそも日本人は「リスクを回避したがる」「内向的」な印象を持つことが多くかつ自由に対しての感覚がないという。
また祖先に関する関心が強いことに関しては宗教的な関心よりも、日本人独自に染み着いている「仏教」や「神道」によるものが強い。

第3章「家庭や子供に関する価値観」
結婚や出産といったプライベート、さらに休日や余暇についての統計を紹介している。
結婚・離婚・同性婚にまつわる認識差だけではなく、学校の授業やスポーツ以外の趣味(ゲームなど)なども取り上げられており、なかなか興味深い。

第4章「経済活動や働き方に関する価値観」
簡単にいえば仕事にまつわること、いわゆる「仕事」にまつわる様々なことに関しての統計を取り上げている。
高度経済成長からバブル崩壊、そして現在にかけて日本人の労働観や仕事観に変化がある。その「変化」については「仕事と日本人」にて記載しているため、ここでは割愛するが、他国との比較とはいえ、ここまで変化したのかと驚くばかりである。

第5章「科学や自然に関する価値観」
おそらく日本は世界一の「科学技術立国」と呼ばれるほど科学技術は発展している。その証拠として毎年ではない者のほぼ毎年のようにノーベル賞を輩出している。私たちは「科学技術の発展」と「科学そのもの」にどのような関心を持っているのか、本章ではそれに関する統計を紹介している。

本書を読んでいく内に新潮社新書にある「日本は世界で第何位?」を思い出す。これもまたランキングでもあり、統計もとっている者であるが、あくまで解釈そのものを論じている訳ではなく、統計そのものの解釈は私たちに委ねられている。本書は「国際日本データランキング(2012年4月19日を持って閉鎖)」をもとに事実を紹介しているだけであるため、それを解釈し、主張するのはあなた次第、と言える一冊である。

キネ旬総研エンタメ叢書~“日常系アニメ”ヒットの法則

キネ旬総研エンタメ叢書 “日常系アニメ”ヒットの法則 キネ旬総研エンタメ叢書 “日常系アニメ”ヒットの法則
キネマ旬報映画総合研究所

キネマ旬報社  2011-05-26
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「COOL JAPAN」と言われて久しい。それだけ日本の「アニメ」などのサブカルチャーは日本のみならず、海外でも人気がある所以である。
私自身、読書やF1観戦、落語鑑賞以外にも趣味があり、その一つとして「アニメ鑑賞」もある。だいたいは深夜に放送されるアニメを録画して暇な時間に見たりしている。年間でどれくらい見ているかというと、ほぼ深夜に放送されるアニメはほぼすべて見ているため、約70作品ほどになるか。
私事はさておき、最近では本書のタイトルにある「日常系」がブームを巻き起こしており、内容のおもしろさもさることながら、舞台となったところでは町興しに利用するなど様々な「ブーム」を巻き起こしている。「らき☆すた」「けいおん!」がその代表格をなしているが、そういった「日常系」の作品がブームを起こした「なぜ?」について本書では「日常系」作品を取り上げながら分析を行っている。

第1章「"日常系"とは何だ?」
そもそも「日常系」とはいったい何なのかから始める必要がある。
簡単に言えば、ごく当たり前にある「日常」そのものを描いた作品である。決して2011年4月~9月に放送された「日常」のことを言っているのではない(いちおう「日常系」と呼べる作品だが)。
それはさておき「日常系」と呼べるアニメには最初に述べた作品のほかに「ひだまりスケッチ」や昔から放送されている「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」についても本章では取り上げている。
最近で取り上げられている「日常系」といえば「坂道のアポロン」「君と僕。」くらいか。

第2章「日常系を生んだ"空気"とは何だ?」
「日常系」アニメの特徴として臨場感あふれる「物語」というよりも、それぞれのキャラクターが織りなす「コミュニケーション」が「ストーリー」を紡がせている。この「日常系」のアニメの出身はアニメが最初である「オリジナル作品」のほかに「R-18指定」のかかったゲームからきているものも多い(「To Heart」「ef - a fairy tale of the two.」などがあげられる。本書では「CLANNAD」も取り上げているが、あれは全年齢版の作品である)

第3章「日常系を受け入れた"空気"とは何だ?」
確か6年前に、YpuTubeに深夜アニメの動画が無数にアップロードされたことによって著作権も絡めて話題となった。
最近では「ニコニコ動画」などで様々インターネット番組が放映されたことにより、放送できないところもカバーしたため、前述のようなアップロード(俗に「違法アップロード」という)は減ってきたのかもしれない。
「日常系」アニメがブームを巻き起こした要素の一つとして前述のようなアップロードも手伝ったのもあるが、インターネットによる「ブログ」や「SNS」により、感想を共有することを可能にしたことによって、社会現象に近いブームを築き上げたといっても過言ではない。

第4章「"日常系"を作り出したのは誰だ?」
ではこの「日常系」を作り出したのはだれなのか。その源流として本章では「美少女戦士セーラームーン」を取り上げている。そこから「新世紀エヴァンゲリオン」「天地無用!」などの作品が放送され、「日常系アニメ」が形成されていったのだという。

第5章「"日常系"はなぜつくられた?」
しかし、地上波テレビの視聴数も右肩下がりとなり、それによる広告収入も追随して減少傾向にある。テレビ業界は「冬の時代」と呼ばれる時代に入った。深夜アニメも例外ではないが、アニメの市場規模を計る媒体としてDVDやBDなどのビデオソフトの売れ行きも最近では回復傾向にあるものの、右肩下がりが現状である。とはいえ悲観的にはできない大きな要因としてキャラクターソングなどの売り上げが伸びており、ビデオソフト売上減少を補填になっている。

「日常系」アニメの隆盛はこれからも続くことであろう。その「日常系」がどのような歴史をたどっていったのか、そしてそれが一大ムーブメントとなった要因、本書はそれについて分析を行っているが、おそらく今の社会に足りないもの、そして状況を投影したのかもしれない。

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