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転ばぬ先の転んだ後の「徒然草」の知恵

転ばぬ先の転んだ後の「徒然草」の知恵 転ばぬ先の転んだ後の「徒然草」の知恵
嵐山 光三郎

集英社  2012-04-05
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古典は生きていく上で、働いていく上で様々なヒントを投げかけてくれる。哲学の思想にしても宗教の思想にしても、ビジネス書でも語られることの少ないヒントが眠っている。
私も古典作品をブログで取り上げ始めているが、読む、あるいはブログ上で書いていくうちに、読むのは難しいが、読めば読むほど深みがある事に気付く。
さて、本書の話に移る。本書は吉田兼好の「徒然草」をもとに人生・仕事とはどうあるべきかを伝授しているが、本書が刊行するきっかけが一昨年になくなったスティーブ・ジョブズの「伝記」を読み、徒然草と通ずる所があった所からだという。

第一章「「いま」を生きる」
私たちは過去にも、未来にも生きていない。「今」ここに生きている。
その「今」をどのように生きるのか、と言うのが後々の人生に大きな影響を与える。それは若いときでも、年老いた時でも変わりはない。
しかし私たちのようなサラリーマンは忙しさにかまけて、「今」を見つめ直すことができなくなってしまっている。

第二章「なぜアマチュアはプロに勝てないか」
将棋でも、囲碁でも、その道を究めようとするプロにアマチュアが勝つというケースは少ない。将棋に限って言えばアマチュアでもトップクラスの棋士に平手で勝ったというケースはあるが。
そういったケースは希有であり、大概アマチュアはプロには勝てない。
その理由として「慎重」にあるのだという。

第三章「会社をやめるということ」
最近では働き方や生き方などの幅が広がりを見せている。その一方で会社に勤め続けている人でも、自由にあこがれて会社を辞めてフリーランスになる人も少なくない。
会社を辞める、本章では「ドロップアウト」することと自分自身をドロップアウトをすることの違いについても述べている。

第四章「珍しきを求めて異説を好まず」
様々な所で自分の考えと違う人やものと出会う。その出会いが「珍しい」かどうかは人それぞれである。
しかし自分の考えや価値観を覆すような「珍しい」ものは求めるべきであるが、それに「好む」、寄り添った考えや価値観に傾くべきではないと吉田兼好は言い切っている。

第五章「生きていく奥義」
とにもかくにも生きづらい世の中である。
そのような世の中で生きていくには「無益」の思想が重要なものとなるという。「欲」を持たず、それでいて求めず、噂を無視し、酒を嗜むことによって生きていくことは楽しくなる。

第六章「時代のダンディズム」
「清貧」という言葉はもはや過去のものとなって言ってしまったのだろうか。華美な服装やぜいたくに対して嫌悪感を持つのだが、その一方で、他人への欲求が過剰になってしまう。他人に求めず、自らも節制を持つことによって、「善く」生きることができる。

第七章「失敗の罠」
失敗をする事の「罠」ではなく、失敗へ導くための自らの振る舞いにまつわる「罠」を本章にて指摘している。
「自分の振る舞い」というと話し方や考え方、立ち振る舞いなどがある。

第八章「無常変易(むじょうへんやく)」
吉田兼好が生きていた鎌倉時代には「無常」と言う言葉がよく使われた。「平家物語」の冒頭でも「諸行無常」が挙げられる。
「死」と隣り合わせの世界だからでこそ、それを見つめ、それが価値観としてとらえ、美学になった。

時代は違えど、「真理」はいつの世も変わらない。日本という「世の中」は、様々な変化を起こった。しかし、その時代のなかで栄えるものもいれば、落伍するものもいる。どちらも因果はあるのかもしれないが、いずれにしても「俗世」と呼ばれる世の中にとって一石を投じている一冊こそ「徒然草」であることに変わりはない。

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