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30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと

30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと 30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと
宇佐美 典也

ダイヤモンド社  2012-09-28
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メディアやコメンテーター達が中心となって官僚叩きを起こしており、その風潮は止まりそうにない。
しかし当の官僚達はどのような心境で受け止めているのだろうか、どうして働いているのだろうか、本書は「元官僚」として、官僚の仕事とは、政治家と官僚の関係、政権交代、そして自ら官僚を辞めた理由について著者なりの考えと経験を綴っている。

第1章「僕が経済産業省の官僚になるまで」
著者は裕福な家庭で生まれ、育った。学生時代からエリートコースを歩み、東大に合格、大学生になった当初は自由を満喫しようとしたが、サークル活動で「日本」そのものの問題意識が芽生え、官僚になろうと志し、「国家公務員一種(国家一種)」を受験し、経済産業省に入省した。

第2章「なぜ東大生が集まっているのに問題だらけなのか」
現在、中央省庁の官僚全体の7割は東大卒であるのだという。しかしこれは今も昔も変わらないのだという。
元々「官僚」のステータスは政治家よりも優秀であり、これからの日本を担う存在といわれていたが、いつしか「無能」「有害」というレッテルを貼られる存在となってしまった。その原因には最初にあげられた「変わっていない」ことが挙げられる。

第3章「キャリア官僚制度には意義がある」
「官僚バッシング」が止まらないが、定着しているのが
「定時に帰ることが約束されていて、税金という名の甘い汁を吸っている」
というのがある。私の知り合いにも官僚はいるのだが、定時どころか、終電、もっというと徹夜になるほどまで政策実務や法律づくりなどの激務がつきまとう、ところによっては月300時間にも、400時間にものぼるほどである。
さらに「国会」における答弁をまとめる「国会業務」についても言及しているが官僚のなかでももっとも嫌がる業務の一つであるという。

第4章「政治家と官僚の役割を考える」
官僚は政治家に対し、状況を事細かに説明し、そのなかで現実的な政策や法律の立案・実現などを行っているのだが、それが「官僚政治」や「官僚支配」の象徴として歌われているのだという。もっとも政策や法案をまとめるに当たり、各省庁がとりまとめる「白書」をはじめとした「調査」に多大な労力を要する必要がある。官僚は単に「縁の下の力持ち」の存在に過ぎないのである。
しかしプロジェクトや政策によっては省庁間でやりとりを行う必要があるのだが、難航し、大臣まで担いでようやく軌道に乗ったという苦労話もある。「縦割り」と呼ばれる官僚の世界をいかに打開するか、というエピソードは官僚の世界ばかりではない。大企業でも同様のことがいえるのではないだろうか、とさえ思った。

第5章「天下りは本当に悪なのだろうか?」
官僚批判の代表格として挙げられるのが「天下り」である。
しかしこの「天下り」問題について言及されたのは1960年代からずっと続いている。
しかしこの「天下り」の考え方はそれだけか、もっというと「官僚OB」の存在は必要かどうか、そして官僚の世界における「OB」の存在について自らの体験と感じたことについて綴っている。
「天下り」に対する改革は必要である。しかし「天下り」や「官僚OB」に対する考え方を変え、あるべき姿とは何か、メディアを越え、自ら考え抜くこともまた、国民に委ねられた課題である。

第6章「官僚としての最後の提言」
日本の借金はもはや1000兆円を越えようとしている。もしかしたらもうすでに越えたのかもしれない。その原因として挙げられるのが、税収の減少でもなく、地方交付税の配給でもなく、「社会保障費」である。高齢化の歯車はどんどん進むことだが、それをいかに活かすのか、政府や官僚ばかりに押しつけず、国民一人一人がアクションを起こす時代に入ったのでは、という提言を行っている。

今も昔も「官僚叩き」は止まらない。そしてその風潮を押さえるような人がいない限り止まるようにも見えない。「押さえる人」として著者をはじめとした官僚の方々が直接メディアで叫ぶべきであり、それを受け入れるメディアも必要である。私たちは官僚の「声」をもっと聞く必要がある、そのことを知らせる一冊であった。

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