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英連邦 ~ 王冠への忠誠と自由な連合

英連邦 (中公叢書) 英連邦 (中公叢書)
小川 浩之

中央公論新社  2012-07-09
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「英連邦」と一括りにいっても「イギリス(グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国)」のことだけを言っているのではない。イギリスの君主が国家元首としている国々を総称して「英連邦」と言われている。その「英連邦」と呼ばれる国は、

・カナダ
・オーストラリア
・ニュージーランド
・ジャマイカ
・パプアニューギニア

など54カ国存在する。その多くはかつてイギリスの植民地としていた、あるいは多くの移民を行った国々であった。
本書は数多くの国々が加盟している「英連邦」のあらましと実態・課題について迫っている。

第一章「植民地から自治領へ」
18世紀の時代は「欧米列強」と呼ばれるほど欧州の国々が時代の台頭であった。中でもその中心にいたのが「イギリス」であり、アメリカ大陸やインド、さらにはオセアニアなど多くの国々を植民地・自治領にした。その概念が第二次世界大戦後まで続いたが、それが「英連邦」という礎が構築されていった。

第二章「英連邦の成立」
第一次世界大戦中の1917年5月にイギリス上院で行われた演説で、初めて「英連邦」について言及された。このときは「英連邦」という言葉だけであったが、後に「バルフォア報告書」や「ウェストミンスター憲章」など枠組みが作られ、成立したのは1931年の時である。そのときは「植民地」「自治領」が中心であった。

第三章「「新英連邦」への道」
第二次世界大戦後、「植民地」「自治領」と呼ばれた国々が独立・共和制へと移行していった。英国の「植民地」や「自治領」も例外ではなく、インドなどが共和制に移行することで憲章そのものの枠組みをどうするのか、という問題で紛糾した。また英国領となったことのない国々が続々と加盟を希望していき、「英連邦」の枠組み、さらには名称変更まで、戦前とは異なる状況に対応することへの四苦八苦について描いている。

第四章「「帝国後」の模索」
やがて時代は米ソを中心とした「冷戦」へと向かっていった。その中で「英連邦」と呼ばれる国々にて「スエズ戦争」や「人種差別」「ベトナム戦争」などの出来事により、加盟・脱退が流動的になり、かつイギリス自体もかつての「帝国」という威厳を失い、英連邦そのものの意義が問われるようになった。

第五章「現代世界の課題と英連邦」
右往左往した末、1971年末に新しい「英連邦」としての首脳会議がシンガポールで開催され、新しい枠組みを形成づける「シンガポール宣言」が採択された。
そして今日では軍事や外交以上に「経済」に関する問題が浮き彫りとなっている。EUを中心とした「ソブリンリスク」を脱出・回避することが当面の課題と言える。

国際連合でも「EU」でもない独特の枠組みのある「英連邦」であるが、それがどのような役割を持っているのか、メディアではあまり表だっていないのが現状してあるのだが、あまり表立たずして政治・経済において重要な役割を担う立場といえる。途上国が大きく変わっていく中、どのような立ち位置にいるべきか「英連邦」や「イギリス」は「試されている」とも言える。

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