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超高齢者医療の現場から - 「終の住処」診療記

超高齢者医療の現場から - 「終の住処」診療記 (中公新書) 超高齢者医療の現場から - 「終の住処」診療記 (中公新書)
後藤 文夫

中央公論新社  2011-12-17
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バブル崩壊のころから日本は「高齢化社会」と言われてきた。そして現在では総人口に対する高齢者の比率は20%に迫る勢いを見せ、「超高齢社会」と言われてもおかしくないほどにまでなった。
その時代だからでこそ「医療」や「福祉」が重要なものとなるが、本書は病院や「老人ホーム」などの高齢者施設の現場と現状を鑑みながら、これからの「超高齢社会」の医療のあり方を提言している。

第一章「実の娘の介護放棄」
「介護放棄」は本章に限った話ではなく、介護の需要が急速に高まっている時代だからでこそ他人事ではなくなっている。
本書はあくまで一例ではあるが、このようなことはどこでも起こっていると言っても過言ではない。

第二章「おだやかな死と「死の質」」
「死の質」という言葉は最近になって聞く言葉である。ガンなどの生活習慣病が増加したとともに、医療は様々な形で進化を遂げた。それと反比例して家族を含め、人間同士の関係が希薄となり、家族に看取られて亡くなるケースが少なくなっている。いわゆる「死の質」は誰かに看取られて亡くなる人がいるかどうか、と言うことを問われている。

第三章「認知症の合併症による家族とのトラブル」
かつては「ぼけ」「痴呆症」というような表現で使われた。しかしその言葉が「差別用語」として扱われ、患者やその家族、そして評論家がヒステリックを起し「差別」という言葉でシュプレヒコールを上げる。それが原因となってか、「痴呆」という言葉から「認知症」と言う名となった。

第四章「認知症患者の悪口雑言とクレームに疲弊する介護職員」
「認知症」患者が介護者や医者、もしくは患者の家族は疲弊を起こすケースが多い。とりわけ介護職員が悲鳴を上げているのだという。

第五章「在宅介護と介護ストレス」
「介護」は様々な世話をするのだが、それが続くと疲弊する事もあり、最悪の場合、虐待や殺人など物騒な事件に発展するケースも少なくない。本章ではその現状について綴っている。

第六章「入院三ヶ月・これからどこへ?」
悲鳴を上げているのは患者ばかりではない。医療機関も地域格差などにより悲鳴を上げているという。知り合いの医師の方は「医療はインフラである」と主張している。私もその通りであると考えるが、現実はそういっていないのがありありと見える。

第七章「要支援・要介護数の急増に対応できない介護政策」
高齢化による事象の一つ要介護や要支援を受ける人が急増している。それにより介護給付金の支払い額も急増し、介護者やその家族だけではなく、国そのものも悲鳴を上げている。

第八章「姉が妹の障害年金を流用」
ここでは「障害年金」の話であるが、まさに「法律の抜け穴」とも言える制度の脆さを露呈しているように思えてならない。本章の障害年金に限らず、私たちが払う年金や保険、あるいは生活保護など「抜け穴」と呼ばれるものは少なくなく、それを悪用するケースもあり、ニュースで取り上げられる。

第九章「超高齢者に多い病気」
80歳や90歳、100歳にまでなると「超高齢者」と呼ばれるようになる。超高齢者になると生活習慣病だけではなく、様々な「合併症」にかかりやすくなるのだという。

第十章「認知症の種類と症状」
「認知症」と一括りにしても様々な種類があるという。「脳血管」によるものもあれば、「アルツハイマー」などもある。様々ある認知症の評価方法もいくつか存在しており、本章ではそのうち有名なものを2つ取り上げている。

第十一章「安楽死・尊厳死を考える」
高齢者に限らず、「死に方」を選ぶ人もいる。難病となった時に「延命措置を断る」ことや「尊厳死」「安楽死」を自ら選ぶのだが、それは医学や倫理、宗教からの議論は絶えない。

高齢者の医療はもはや日本における医療の中でも、1・2を争うほど重要なものとなっている。法制度のあり方や国に頼るよりもむしろ、民間や私たちのなかで医療を考え、本当の意味で「すみやすい」「インフラ」と呼ばれるような医療を目指す必要がある。本書は医療の現状を知るとともに、それを感じさずにはいられない思いを馳せた一冊である。

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