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「きれいごと」を言い合っても世の中は変わらない

「きれいごと」を言い合っても世の中は変わらない 「きれいごと」を言い合っても世の中は変わらない
宋 文洲

生産性出版  2011-02-02
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株式会社オトバンク 上田様より献本御礼。
社内外問わず「きれいごと」を言う人は必ずいる。政治のニュースでも「きれいごと」を言う人がほとんどであり、辟易をしてしまう。
しかしその「きれいごと」が体をなしているのかというと、ほとんど見あたらない。むしろ口と行動に齟齬があるようにしか見えない。
本書はきれいごとを言うような日本の政財界について苦言を呈するとともに、中国・韓国・日本と三国を見てきた著者がどのように東アジアのマーケットを渡り歩けばよいのかについての提言を示している。

第一章「体験と立ち位置の違いによって見えたこと、気づいたこと」
日本と中国、韓国は隣国同士であるが、互いにいがみ合っている。日本と韓国、日本と中国に関しては数十年前からニュースでも歴史でも取り沙汰されていたが、韓国と中国に関するいがみ合いは最近になって表面化している(サッカーのニュースで取り上げられている)。
それはさておき、著者が中国からみて、韓国から見て、日本から見た印象の三つについて語っている。なんと言っても中国や韓国を主観に置きながら、他国を見ているところは日本人ではなかなかできないことで、これからのビジネスはどのように行けば良いのかという座標軸にもできる。

第二章「中国を理解するための糸口」
中国人、もしくは中国のことを「華僑」呼ばれている。たしか「新華僑」や「老華僑」という呼ばれ方は池袋チャイナタウンに関して論じた本を取り上げたところで使われたのは記憶に新しい。

第三章「日本と中国の成長過程を考える」
「成長過程」といっても様々なものがあり、本章では経済成長と言うべきか、それとも企業成長と言うべきか少し判断がしづらい。むしろ本章ではその両方を言っているのかもしれない。
中国の銀行や不動産、さらには投資にまつわることなど「マネー」のところについて日本と比較をしている。とりわけ不動産にまつわる審査は日本に比べて「甘い」という指摘があったのだが、不動産にまつわる審査については私もわからなかったので興味深かった。
さらに製造業や社会全体についても論じられている。

第四章「本質や原理・原則はどこの国でも変わらない」
本書のタイトルにある「きれいごと〜」の議論の中心は本章にある。
ふと思ったのだが、「きれいごと」を言うこともあるのだが、それ以上に建前ばかりで実行に移していない人ばかりで、支持を集められていない政治家が多いことを考えると、日本の政治の現状を嘆かずにはいられない。
本章では著者の前書にまつわるエピソードも含めて、日本企業の現状についても体験談とともにふれている。個人的には少し過激で面白いと感じた。

第五章「東アジアマーケットでの新しい可能性を考える」
「戦後最長の好景気」と呼ばれた頃は、日本企業のアジア進出がめざましかったのに対し、最近では企業撤退や進出を白紙に戻す企業もでている。次第に企業も後込みして内向きになっている表れといえる。中でもF1ドライバーの小林可夢偉が日本企業の支援が少ないことについて取り上げたことは非常に的を射ている。
本章では日本の思いこみなど企業にまつわる「固定概念」を論じている。とりわけ「資源がない」という思いこみについては共感を覚えており、最近では「メタンハイドレード」の研究や、「発電床」にまつわる研究も行っており、それらは産業化に向けた取り組みも進んでいる。資源もさることながら海外に向けて太刀打ちできる、もしくはリードできる技術や可能性は数多くある。

日本・韓国・中国とそれぞれ特性の違う国々であるが、欧米諸国をはじめとした国々は混同している現状があると著者は指摘している。国々の違いを理解しながらも本質とは何かを求めないといけない。建前だけのビジネスや政治はもうすでに成り立たない。これは政治や企業経営に関わる人たちだけではなく、私たちも考えなくてはいけないことである。

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