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リーダーは半歩前を歩け

リーダーは半歩前を歩け (集英社新書) リーダーは半歩前を歩け (集英社新書)
姜 尚中

集英社  2009-09-17
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リーダーは人よりも前に行かなければいけない、ということはビジネス、政治に限らず、様々なリーダー論の中でいわれているのだが、本書は「半歩前」で良いといっている。一歩前や二歩前ではなくなぜ半歩前なのか、そしてそれらの違いとはいったい何なのか、本書はそれを突き詰めている。さらに本書は昨年逝去された元韓国大統領の金大中氏との対談もあるが、リーダー論としてのヒントとして金大中を引き合いに出している。ちなみに本書は政治的リーダー像について表しているのだが、企業のリーダーについても共通するところがある様に思える。

第一章「カギは「半歩前」だ」
最初にも述べたように本書のタイトルは「半歩前」である。それはなぜか。「カリスマ」と呼ばれる人は人よりも何歩も前に進んで流行を先取り、あるいはコントロールをすることができる。しかし現場や部下たちの声を聞かずに突き進む傾向が強く、リーダーがついていくのも必死になってしまう。あるいはついていけず、気がついてみるとリーダーの孤軍奮闘となっていることもある。かといって部下と同じ位置にいると、「守り」ばかりに転じてしまい、ビジネスや政治の潮流に流されてしまい、リーダーの適性を疑われてしまう。
その両方を解決する一つの策として「半歩前」というのがある。半歩先を歩いて流行を先取りしながらも、半歩下がって部下たちのことを気遣う。その帳尻を併せやすいのが「半歩」であるという。

第二章「あなたも「リーダー」になれる?」
「リーダーはカリスマ性がないとなれない」「リーダーは適正のある人にしかできない」
そういった意見もあるようだが、「食わず嫌い」の如く、やってもいないのにできないと考えている人の多くは最初のような意見を言う。
そういう人は一度リーダーをやってみると良いと私は思うが、リーダーとして何を行えばよいのか、どのような心構えであれば良いのかについて本章で紹介している。それに伴って、本章では「戦後最長の好景気」と呼ばれた時代から、リーマン・ショックに至るまでの企業、経済の現状について考察を行っている。
ちょうどこの時は日経平均が回復傾向にあり、過去最高益を更新する企業も続発した。しかし株主配当について「モノ言う株主」が急増し、さらにファンドによる敵対的買収を行うと言うことも相次いだ。労働者のためにある企業なのか、それとも株主の隷属として労働者がいるのだろうかと考えさせられる時代であった。

第三章「「見てるだけ」ではダメです」
「見てるだけ」と言う言葉を聞いた時、一昔前に「見―てーるーだーけー」というCMがあったことを思い出した。ちょっと調べてみたら、通販会社のニッセンのCMだそうだ。
「リーダーの仕事」の一つとして挙げられるのが「見守る」というのがあるが、「本当のリーダー」の資質が問われるのは、チームや国が崩れかかるほどのピンチを迎えた時、どのような舵取りを行うのかに限る。政治的にも経済的にも大きな決断を下すと言うこともあるが、昨今の歴代首相はそれがあったのかと言うと疑わしい。

第四章「【対談】大いなる邂逅」
金大中は昨年の8月18日にこの世を去った。韓国大統領を5年にわたってつとめていたが、それ以前に、当時独裁政権下にあった韓国で民主化運動を起こし、逮捕、収監された経歴がある。軍部から殺害されそうになり、帰国するやいなや自宅軟禁されるという「金大中事件」も合った。さらに光州事件により死刑宣告されたこともあるという。政治家の中でも強者と言える様な部類に入る。
金大中の大きな功績を挙げてみると「南北首脳会談」がある。朝鮮半島が北と南に分断されてから初めて、韓国と北朝鮮の首脳が会談すると言うことで全世界で話題となった。
南北首脳会談についての評価は賛否両論が絶えないが、それでもこの会談を決断したこと、「太陽政策」という名の宥和政策を行った決断に対して著者は評価しての対談であることは間違いない。

リーダーは組織の形態によって様々であるが、共通して言えるのは人望、そして決断力といったところが挙げられる。ほかにもピンチに陥ったとき、迷った時、壁にぶち当たった時にどのように舵を取るかもリーダーの力量として試される。リーダーはビジョン(理想)と現場(現実)の橋渡しの役割。そのためには半歩進んで半歩下がれる立ち位置であることが必要と著者は定義している。

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