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破戒と男色の仏教史

破戒と男色の仏教史 (平凡社新書) 破戒と男色の仏教史 (平凡社新書)
松尾 剛次

平凡社  2008-11-15
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仏教には他の宗教の中でも戒律の厳しい宗教として知られており、とりわけ「殺生」を禁じたのは有名である。仏教の推進に尽力した聖武天皇の頃から黒船来襲までおおよそ1000年もの間、日本では「殺生」を禁じたことにより、牛や豚といった動物を食肉にする事を禁じられた。それに派生してかウサギが「1羽2羽」と数えられた理由にも挙げられている。
戒律の厳しい仏教であるが、中世から近世までの間、本書のタイトルのように破戒や男色というのに悩まされてきたという。近世以降はいったんそれが復興されるようになったのだが、最近では戒律という言葉がどこへ行ったのやらと嘆く仏教徒も少なくないのだという(しかし厳しい戒律を続けているところもあり、延暦寺は修行の厳しさで非常に有名である)。
本書は仏教における光と闇の歴史、どちらかといえば闇に傾いているのだが、そこに迫っていった一冊である。

第一章「持戒をめざした古代」
日本において仏教が初めて広がり始めたのは飛鳥時代、当時の権力者である蘇我氏に始まる。朝鮮半島からの帰化人によって信仰が始まり、蘇我氏が仏教の受容による諍いに勝利を収めたことから始まった。しかし大化の改新以後は天皇主導で仏教の信仰を行ったのだが、古代において信仰の全盛を迎えたのが唐でもっとも有名な仏教徒である鑑真の来日にあった。鑑真は日本において仏寺を建立させただけではなく「授戒制」を成立させ仏教における世界基準を設けたことでも知られている。

第二章「破戒と男色の中世」
平安時代となり、仏教の色が濃くなっていった時代、藤原氏が権力を掌握する時代に入った。そのときには「枕草子」や「源氏物語」を筆頭に数多くの文学作品が誕生したことでも知られている。奈良時代には「古事記」や「日本書紀」などがでてきており、日本における「ルネッサンス」が誕生した時代とも言える。
やがて鎌倉時代に入ったとき仏教界は蝕まれ始めた時代に入った。本章のタイトルにある「破戒と男色」である。その時代では僧の男色相手である「童子(どうじ)」や「稚児(ちご)」が出てきた。今でいう「ショタ」や中国大陸における「大臣官」にあたるところの様に思える。
そのときは宗教における戒律とは別に幕府からの命令によるもので男色相手である「童子」を所持を制限した一文がある。つまり幕府公認で男色が進んでいったといっても過言ではないといえる。

第三章「破戒と持戒のはざまで」
中世以後「戒」はうやむやとなってしまっており、仏教における「持戒」の意味が薄れてきてしまった。代表閣としてあげられるのが、アニメでおなじみの「一休」があげられる。一休は若い頃に悟りを開いてしまったため、その後は自由奔放な奇行をする僧として有名になってしまった。晩年は肉食を好み、毎晩のように女犯や男色を行うなど煩悩に満ちた一生であった。
仏教の「持戒」が荒廃した中で「持戒」のふっきょうに尽力した数少ない人物に思円房叡尊がいる。叡尊は荒廃した仏教界を嘆き菩薩から自ら受戒をし、西大寺を中心に持戒の復興に尽力をした。

第四章「近世以後の戒律復興」
時代は江戸時代に移った。当時はザビエルによるキリスト教信仰が広がり「キリシタン大名」というのも増えていった。それを憂いた幕府は「踏み絵」を強制するなどキリスト教の排斥を積極的に行った。とりわけ「島原・天草一揆」が有名である。
その一方で戒律の復興や仏教の推進に幕府もサポートしたところを本章で説明している。
しかし明治時代に入ると妻帯の許可が法令かするなど、戒律の概念が再び薄れていき、現在に至る。

本書のタイトルからして糾弾すべきという論者もいるかもしれないが、本書の後書きにあるように、当時の文化・時代背景に現代の価値観を押しつける様な事をする輩がいるがそれは考えるべきではない。「そういった歴史もあった」ということで受け止める必要があるのではないかと私は思う。

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