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多読術

多読術 (ちくまプリマー新書) 多読術 (ちくまプリマー新書)
松岡 正剛

筑摩書房  2009-04-08
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読書好きであるとしたら「松岡正剛」の存在は知らない人はいない。もとい東京の丸の内にある「丸善 丸ノ内本店」を利用している人であればだれでも彼の名前なら聞いたことがあるだろう。その書店の4階には松岡正剛がプロデュースした「松丸本舗」というのが10月23日にオープンしたからである。
松岡正剛都言えば「千夜千冊」でおなじみであるが、間違わないでいただきたいのは、「千夜千冊」は書評を行っているわけではない。あくまで「体験記」や「読書案内」を取り上げているまでと本人は語っている。

第一章「多読・少読・広読・狭読」
松岡氏は何十万冊ほどの読書を経ている。「千夜千冊」の中には今まで読んできたエッセンスが本の紹介とともに詰まっており、紹介されている本を読むに加えて、松岡氏の論考も味わうことにより、ほんの楽しみを何倍、何十倍にも高めることができる。
著者の読書は至ってシンプルであり、繰り返して読んだり、違うジャンルを読んだりしながら和夫奥の本を読むことにより、複眼的な視点から本の紹介を行うことができる。松岡氏はまさしく「酒仙」を肖った「読仙」もしくは「読聖」と言うにふさわしい方である。

第二章「多様性を育てていく」
松岡氏の生い立ちを読書とともに振り返っている。
私も小学生の頃からほぼ毎日のように図書館に入り浸っていた人間である。平日は放課後に小学校の図書館に足を運び、童話などたくさんの本を借りる。そして週末には市立図書館に足を運びそこでも様々な本を借りた。司書の手違いにより、返却の督促が何度もきたことは今となってはよい思い出である。

第三章「読書の方法をさぐる」
いよいよ読書論の核心に入っていく。松岡氏は読書に関してこう主張している。
「その前にふたたび強調しておきますが、読書はどんな本をどんな読み方をしてもいいと思います。(p.64より)」
読書をするのは人それぞれである。他人の読書術をひたすら実践をする、もしくは独自の読書術を試行錯誤を繰り返しながら試してみることによって、自分にあった読書術を確立していくと言うことをやった方がいいと思う。ちなみに私の読書は前者で失敗したため、専ら後者を繰り返して確立した。
たとえば読書によって感じたこと、気づいたことというのはたくさんあることだろう。そこからどのようにして記録していくのか、残しておくかも人それぞれであるが、著者は本をノートであるかのようにマーキング、で記録をしていくという方法を行うことによって、著者の癖、主張を見極め、「千夜千冊」に転化させている。

第四章「読書をすることは編集すること」
松岡氏は「編集工学研究所」の所長である。その読書を編集をすることによって新たな知識を蓄えるにはどうしたらいいのかや、書き手の技術を鵜呑みにしながらも書き手と読み手とのコミュニケーションをとっている。

第五章「自分に合った読書スタイル」
「読書は個性である」
それは読み方にしても、その感想文や書評の書き方、主張のくせにしてもそれぞれ「個性」がある。目的を持つ「実読」、それを持たない「楽読」にしても細かいところで個性がある。読書は読む本から、読み方までそれぞれ「個人」が現れていると言ってもいい。実際当ブログも最新の本や流行の本を紹介しようと言う気は無く、むしろ自分が気に入った、興味を持った本をありのままに書評という形を取っている。

第六章「キーブックを選ぶ」
多読をしている人には、必ずと言ってもいいほど陥る罠がある。自分の思考が振り幅が広くころころと変わる。それをさけるために、自分の考えの根幹になっている「キーブック」を選びそれを基準にして、どのように思ったのか、と言うのをみていく必要がある。思考のぶれは誰でも生じることであるが、思考の「軸」や「根幹」がぶれてしまっては読書は「劇薬」になりかねないのである。

第七章「読書の未来」
21世紀になってから紙媒体はデジタルに駆逐され始めてきたと言ってもいい。新聞の発行部数や本の出版部数も減少傾向にある。追い打ちをかけるかのように本も「kindle」という電子書籍が日本に上陸してきたことにより、それに拍車をかける心配もある。
しかし様々なところで主張してきたことと同じく私は改めて、「紙媒体はなくならない」と主張することと同じように、「読書はなくならない」と主張したい。たとえ電子化されようとも、紙からデジタルに変わると言うだけで、読書をすると言うことに何ら変わりはないからである。

松岡氏独自の読書術と言うよりも、読書はどうあるべきかと言う考え方が本書にある。ノウハウではない、私たちのような読書人がこれから辿るであろう読書人生にどのような影響を及ぼすのか、長い間ほんとつきあってきた著者が示しているのかもしれない。

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