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あの演説はなぜ人を動かしたのか

あの演説はなぜ人を動かしたのか (PHP新書) あの演説はなぜ人を動かしたのか (PHP新書)
川上 徹也

PHP研究所  2009-10-16
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今年の1月にバラク・オバマがアメリカ大統領に就任した。その時の就任演説は数多くの出版社で書籍やCDとして発売されるほど熱狂的なものであった。この演説のみならずオバマには印象に残る演説はいくつかあるが、これについて後々語ることにするとして、本書は演説術、とりわけ印象に残った人物の演説を徹底的に分析し、人の心を動かす演説を解剖した一冊である。

第1章「小泉純一郎 郵政解散演説――その後四年間の日本を変えた歴史的演説」
これは8月末に行われたセミナーにおいても講義対象となったものである。時は2005年に、小泉氏の大願であった「郵政民営化」関連法案の提出を行い、造反もあったものの衆議院を通過した。ところが参議院では可決条件である過半数に達せず否決、廃案となってしまった。その直後に周銀を解散した時の会見が本章の演説である。
最も小泉首相が人気を集めた理由はいくつかあるが、私の観点から見たら、「自分の言葉で語っている」ところにある。日本の首相の多くはあらかじめ渡された原稿を読むというようなものであるが、この会見では一切それが見られなかった。自分の言葉でそして本章にも書かれている「ストーリーの黄金律」と合致したことにより、予想を大きく反して大勝利につなげた要因となった。
後に「メディアの功罪」といった説もあるが、小泉氏の演説の力が「メディア」と言う書く世紀によって増幅し、国民の心をぐっと掴んだという方が正しいと言える。

第2章「田中角栄 ロッキード選挙演説――逆境の時にこそ底力を発揮する角栄節」
最も人気のあった反面、バラマキを推し進めたことにより「金権政治の立役者」と揶揄する論者も多い。田中角栄は金脈問題により引責辞任され、その後、戦後最も有名な疑獄とされる「ロッキード事件」によって逮捕。日本の顔から一転して囚われの身となった。しかしその渦中の中でも角栄節は力を発揮した。本章では1976年「ロッキード選挙」と呼ばれた時の演説である。刑事被告人となって痛みであるため風当たりは強く苦戦であったのだが、演説をはじめ、遊説を数多くこなしたことから大差で当選を果たした。

第3章「バラク・オバマ 2004年民主党全国大会基調演説――演説の力で一夜にしてライジング・スターに」
今となってはアメリカ大統領となり、さらには核廃絶発言により「ノーベル平和賞」も受賞したバラク・オバマであるが、脚光を浴びるきっかけとなったのは今から5年前の民主党大会における演説であるという。この年の3月にアメリカ上院議員に初当選を果たした新米議員であるが、このお舞台での成功によりわずか5年で大統領となった。
しかし議院経験の少ないせいか、支持率はハネムーン期間を超えた後から下落の一途をたどり、「ノーベル平和賞」を受賞しても、不支持が支持を上回るという始末である。
とはいえ演説力は歴代大統領の中でも上位に位置をしていることは間違いない。歴代大統領や偉人の名演説を研究したことのほかにも、本書で書かれているストーリーが人の心を引き付けたといっても過言ではない。

第4章「ジョージ・W・ブッシュ――低支持率から一気に支持率90%へ」
こちらは逆に歴代大統領の中でも評価の低い大統領として挙げられるジョージ・W・ブッシュ(以下:ウォーカー・ブッシュ)の演説について取り上げている。
ウォーカー・ブッシュと言えば、イラク戦争を泥沼化させたということもあり支持率は低迷し続けた数少ない大統領であった。また就任当初も選挙のゴタゴタや僅差での勝利もあってか御祝儀相場となる就任当初の支持率であるが、低迷を喫しわずか半年で過半数割れをしてしまった。
そんな彼にもある大きな出来事によって一変した。
「9.11テロ(アメリカ同時多発テロ)」である。
この直後にウォーカー・ブッシュは演説を行い、支持率が歴代最高の90%以上となった。その支持率をバックにアフガン侵攻やイラク戦争まで行ったのだが、前述のように泥沼化をしてしまった。
大統領としてのキャリアを象徴づけた演説と言える。

第5章「ジョン・F・ケネディ――名演説はリンカーンを徹底的に研究して生まれた」
ケネディの政策として挙げられるのが「ニュー・フロンティア政策」である。それを象徴づけたのが1961年の大統領就任演説である。ここではアメリカ史上もっとも有名なリンカーンの「ゲティスバーグ演説」を徹底的に研究した結果、最も高い演説の一つとして挙げられ、オバマの就任演説の参考材料に挙げられたほどである。

第6章「フランクリン・ルーズヴェルト 大統領就任演説――たった十数分の演説で絶望していた国民に希望の灯を」
アメリカ歴代大統領の中で最も長く大統領に就いた人物であるフランクリン・ルーズヴェルト(以下:フランクリン)(4期約12年)。現在ではアメリカの憲法によって大統領は2期までしか務めることができないため破られることは憲法を改正する以外ない。
フランクリンが大統領に就任した当時は「ブラック・サースデー」から始まった大恐慌の最中であった。失業率は25%にも達し明日食べるものも、働ける場所もない、絶望の淵の中で希望と言う名の一筋の光をともさせるための演説。フランクリンはそういった演説を行った。
ちなみに彼が行った「ニューディール政策」は数多くの文献では恐慌を脱したとされているが、30年代半ばまでは回復の兆しを見せていた。しかし連邦最高裁でいくつかの政策で違憲判決が出されるなどの破綻を見せ、結局完全に脱するまでには至らなかった(完全に脱出したのは第二次世界大戦の時の軍需によるものだったという意見もあるが、まだまだ議論の余地はある)。

第7章「マーティン・ルーサー・キング・ジュニア「私には夢がある」演説――オバマも真似た20世紀を代表する名演説」
「I have a dream.」というフレーズで有名なキング牧師の演説である。人種差別の撤廃を訴えた演説であるが、世界的にも最も有名な演説とされており、35年経った現在でも英語の教科書に掲載されるなど、根強く印象に残り続けている。

他にも数多くの演説があるのだが、本書では日本・世界の代表的な演説7つを取り上げられている。何といっても人の心に突き刺さる「ストーリー」があることが印象的である。心に突き刺さりながらも、「この人についていけば…」と言うような願望も生まれさせる凄さも持っている。ビジネスや政治において演説を鍛えたい方は絶好の1冊と言っていい。

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本書は著者の川上徹也さんより献本いただいた。 まずは厚く御礼申し上げたい。 演説を聴いて心を動かされた経験ってあるだろうか? それによって、実際の行動に何かの変化が起こるような、考え方が変わるような強い影響を受ける経験ってあるだろうか。 あるいは、演説によって... [続きを読む]

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