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ベーシック・インカム入門

ベーシック・インカム入門 (光文社新書) ベーシック・インカム入門 (光文社新書)
山森亮

光文社  2009-02-17
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ベーシック・インカムというのは直訳すると「基本所得」であり、労働状況や今の職業の有無に考慮せず、無条件で一定の額を給付できるというシステムである。今まさに定額給付金のことを言っているのではという声もあるが、これにも若干似ているが、この定額給付金システムを毎年のように所得として支払うというシステムをいう。世界的には約200年もの歴史を持つといわれているが、あるいはどの国が行っているのか、行っている国ではどのような効果をもたらしているのか、ベーシック・インカムのリスクは一体何なのかということについて見てみたい。
本書の内容に入る前に誤解をしないように言っておくが、決して「バラマキ」ではなく最低限の保障という観点から「基本所得」という給付を行うシステムのことを「ベーシック・インカム」という。

第1章「働かざる者、食うべからず――福祉国家の理念と現実」
「働かざる者、食うべからず」というのは、どこの国にでもある理であり、労働のなかで仕事や賃金と言った対価をもらうことができる。
しかし、働かないものもいれば「働けない」と言う人もいる。とりわけこういった時代は「派遣切り」や「リストラ」によって職を失い、明日の食事もままならないという人もいる。ましてや昨今の状況では「再チャレンジ」というのが不可能な状態にまで陥ってしまうことにもなりかねない。
ではその再チャレンジをするための「生活保護」というのが機能しているのかというとあまり機能していないというのが現実である。受給世帯が過去最高を更新しており、かつ生活保護に関する予算も削減の対象になっている。
憲法第25条に定められている「生存権」というのは本当に保証されているのかと疑われる。

第2章「家事労働に賃金を!――女たちのベーシック・インカム」
「家事労働に賃金を!」というのは1970年前後にイタリアにおいて唱えられた言葉であり、フェミニズム行動の一環として唱えられたというのは有名な話である。
今では女性の働ける、活躍できる環境というのは構築されてきているが、諸外国に比べてもまだ足りないという論者も多い。
本章ではアメリカやイタリア、イギリスでのベーシック・インカム運動をもとにして社会的な要求の高まりを主張している。

第3章「生きていることは労働だ――現代思想のなかのベーシック・インカム」
ここでは、ダラ=コスタやアントニオ・ネグリといった現代における思想家の福祉思想、ベーシック・インカム思想についてのことを言っている。

第4章「土地や過去の遺産は誰のものか?――歴史のなかのベーシック・インカム」
ベーシック・インカムの歴史は約200年も前から議論されてきたものであるという。
ケインズペイン、スペンスと言った人たちがこの思想について主張していき、醸成されたという歴史がある。

第5章「人は働かなくなるか?――経済学のなかのベーシック・インカム」
さて思想学の歴史・思想という堅苦しいものはここまでにしておいて、今度はより生活に近い観点から議論をしている。
ベーシック・インカムをすることによって最もネックになるのが「働かなくなるのでは」というのがある。
私もそれについては同様の疑問を持っており、労働せずに賃金をもらうことにより、動物で言ったら野性味がなくなるように、労働をすることで賃金を勝ち取るという切磋琢磨、もしくはサバイバルというようなものがなくなるのではないかと危惧してならない。
また財源についても疑問を呈しているが、本章では理論的にこの議論の愚かさを指摘しているが、所詮机上の空論でしかないと反論する人も多いように思える。

第6章「<南>・<緑>・プレカリティ――ベーシック・インカム運動の現在」
ベーシック・インカムの運動は世界的規模でも行われており、とりわけヨーロッパでは盛んに行われている。しかし世の中ではあまり認知されておらず、これからどのようにして浸透していくのかというのが課題となりそうだ。

ある程度の給付というのは我々庶民にとってこれ以上ない助け舟となり、使うことにより経済的な循環することにより潤うことも夢ではない。しかしこのベーシック・インカムを日本で可能と考えると私は難しいとしか言いようがない。今となっては誰もがお金がなく貯蓄もほとんどないが、景気が上昇傾向で経済的にも潤沢であった時に私たちは裕福な生活をしたかというとまずしなかった、というよりも稼いだ金を貯蓄することばかりに目が行っていた。もしベーシック・インカムをやったとするとまず貯蓄に走ることになる。こうなってしまっては金銭的な循環が止まってしまい、かえって逆効果になるのではないかというのが私の考えにはある。
良い思想なのかもしれないが日本にそぐわない、というのが私の意見である。

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