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アメリカの終わり

アメリカの終わり (講談社BIZ) アメリカの終わり (講談社BIZ)
フランシス・フクヤマ 会田 弘継 Francis Fukuyama

講談社  2006-11-29
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昨年の10月にリーマン・ブラザーズ倒産によって急速に、かつ世界的に景気が後退した。特にアメリカの経済の減速は凄まじいものがあり、「ドル危機」まで言われるようになった。さらに今年はかつて世界一の自動車メーカーとして名をはせたゼネラル・モーターズ(GM)が「チャプター11(日本で言う「民事再生法」)」を適用し、事実上破産した。これから再建に向けて動き出す。
本書は経済的な終わりというよりも「イラク戦争」により、国の信頼が失墜してしまったことについて書かれた一冊である。国家的な失墜もあるのだが、経済的失墜も考えるとあえてこういった本を取り上げることもまた一興である。

第1章「原則と分別を喪くした国」
ジョージ・ウォーカー・ブッシュ(以下:ウォーカー・ブッシュ)が大統領に就いたのが2001年の1月20日である。閣僚はネオコンと呼ばれる人たちが占められていたが、当時はイラク戦争など戦争介入の空気はほとんどなかった。
しかし9・11テロにおいてネオコンの特質が一気に噴出した。
同年の10月から行われたアフガン侵攻を皮切りに、「悪の枢軸発言」、イラク戦争などの戦争を仕掛けた。
軍事大国としてのアメリカであるが、この時は醜態をさらしたとしか言いようがなかった。

第2章「ネオコンの来歴」
「ネオコン」とは一体何なのだろうか。
アメリカで言う「新保守主義」、英訳すると「neoconservatism:ネオコンサヴァリズム」の頭をとってネオコンと言っている。アメリカで言う右派、それも極右に近い存在である。
支持母体としてはキリスト教右派、キリスト教を絶対と考えている人たちがブッシュ政権を支持していた。
このネオコンは1930年代の反スターリン主義に基づく人たち、「ニューヨーク知識人」が始まりとされている。
当時は「トロツキズム」に傾倒していることあって、左翼傾向の共産主義と言ったところに傾倒していったが、冷戦により袂を分かつ。以来、アメリカにおける共和党とともに活動をしてきた。

第3章「脅威とリスクの予防戦争」
9・11以後、アメリカでは戦争を仕掛けたり、アメリカに対して反感の持つ国に対して強硬な発言を繰り返してきた。ただこの好戦主義というのは今に始まったのではなく、かつての欧米列強、イギリスやフランス、オランダといった国々が推し進めていったところにある。
今ではEUとして平和主義と言ったことを謳っているのだが、どうも胡散臭い気がしてならないのは私だけであろうか。

第4章「疑いの眼を向けられるアメリカ」
イラク戦争は国際背的な反感の中、ごり押しで進められた戦争であった。その正統性はまず正しいものでなかったというのは周知のとおりであった。
国連からの決議にも応じ、査察を受け入れたイラクの姿勢について評価しており、逆にアメリカの姿勢を非難するということが多くなった。
大国としての信頼を一気に失墜してしまった。

第5章「アメリカの限界」
アメリカは信頼回復を務めたかどうかは分からないが、信頼の失墜を追いうちをかけたかのように2005年にはハリケーン・カトリーナがアメリカ南部のニューオーリンズを襲った。その時の対応の遅さ、ずさんさに世界全土から批判の声が上がった。
ブッシュ政権でもまるで打つ手なしのようなもので、アメリカでも支持率は減少傾向にあった。

第6章「新しい世界秩序を求めて」
イラク戦争によってアメリカの信頼が失墜したことにより、ポストアメリカはどうするのか、アメリカ以外に新しい秩序をもつとしたらどの国(もしくはどのグループ)がよいのかというのを考えなくてはならなくなったという。
その台頭として国連、そしてNATO(北大西洋条約機構)を挙げているが、決定打がないというのが現状である。

第7章「新たなる外交政策」
イラク戦争における強硬政策は結局裏目となってしまった。その轍を踏みつつこれからの外交戦略はどう立てていけばいいのかと考えると強硬の逆となる「融和」という形になるという見方もあるが、必ずしもそれが正しいわけでもなさそうに思える。「融和」を推し進めても結局は必ずどこかで「恐慌」に回帰してしまう。たがいに妥協点を見つけられずに対話がなくなり、戦争に陥る。極論ながらそうなるのではないかというのが私の考えにはある。

本書はイラク戦争の失敗から何を学ぶのかということについて国際関係や国の政策を中心に書かれている。3年前に発売されたものであるが、今の状況から考えて色あせていないという方が適当である、というのはアメリカのみならず日本や韓国は「北朝鮮問題」で頭を悩ませているところである。民主党に政権が代わってからどのような戦略を立てるのかというのは注目したいところであるが、大東亜戦争前のハル・ノートのような強硬政策をとってくる可能性もあることを考えると、また同じ轍を踏むのだろうかと危惧している。

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