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ミスター・ジャパンカップと呼ばれた男―異端の挑戦

ミスター・ジャパンカップと呼ばれた男―異端の挑戦 ミスター・ジャパンカップと呼ばれた男―異端の挑戦
河村 清明

東邦出版  2008-10
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馬券会計学を読んでちょっと競馬に関して興味を持ち始めた。本書は「ジャパンカップ」が創設された前後に関するノンフィクション作品である。「ジャパンカップ」というと今ではこれのほかにも「ジャパンカップダート」も行われており、それらをともにして「ジャパンカップウィーク」を形成しているという。この「ジャパンカップ」が創設されてから外国馬が日本のレースに出始めた。ただ日本場が外国のレースに参加したが負け続けたことにより、外国馬に勝ちたいという思いが強かったことがこのレース創設の思いがにじみ出ていた。
序章「暗雲」
1981年にジャパンカップが創設されたが、それまでには多くの障害が残っていたことは忘れてはならなかった。
第1章「焦燥」
「競馬はギャンブルなのか。はたまたスポーツなのか。(p.16より)」
競馬において永遠の課題と言えるこの命題。ファンのほとんどは競馬をかけることにロマンを持っていることからギャンブルと考える。一方で騎手や調教師らはこのレースに勝ちたいという思いからスポーツだと思う人が多いだろう。一元的にこの定義をはっきりさせるのは非常に難しい。
それはさておきこの章では「ジャパンカップ」前の競馬界について書かれている。その時の競馬界は前述のように国産馬が何度か海外遠征を行っていたがことごとく敗れた、1970年代にジャパンカップのように外国馬と国産馬の競うレースを設けたほうがいいという意見があったが保守的な風潮が強く頓挫したいきさつがある。
第2章「胎動」
そう言った風潮の中で密かにではあるが外国の騎手との出会いから始まり、ようやく外国馬を日本に招いて国際競走を行うことをまとめた。それからこの「ジャパンカップ」創設に向けて動きが始まった。
第3章「震撼」
ついに動き出したが、芝の状態や特徴や施設などの状態といった細やかなことに関しての課題が山積していた。日本の競馬の環境と諸外国との競馬の環境が違うために苦しんだ。さらに競馬が盛んであるヨーロッパを招待するかでももめたという。しかしそれを少しずつ解決していきやがてレースができる…かと思いきや急転直下になる事態が起こった。
第4章「光明」
それは以前頓挫したような減少であった「国際レースをやるのは時期尚早」の声だった。新しいことをやるのにはこういった保守派閥をどのようにして説得するか、あるいは論破するのかというのが必要であるが、懸命の説得により、名称は変えることにはなったもののレースを行うことができるようになった。
第5章「凱歌」
ついにレースが行われた日本の競走馬は外国馬のあまりの強さに圧倒されたが、これを機に日本の競馬界は盛り上がりはじめ、数々のドラマを生んでいった。
終章「覚醒」
「ジャパンカップ」が開催されたことについて、日本中衝撃を受けた。大橋巨泉でさえもその衝撃をサンケイスポーツ内で吐露するほどである。なお、「ジャパンカップ」で日本の競走馬が優勝したのはその3年後の1984年のカツラギエースである。
なぜ本書が出たのか、その理由があとがきに書かれていた、
「しかし、業界が活気を失い、閉塞感に覆われてしまっていると見るなら話は別だ。私たちは過去に何らかの打開策を見つけなければならない。それが最も早く、最も確実な方法ではないのか(p.226より)」
これは競馬界のみならずあらゆることに関しても言えることである。現状維持に凝り固まりすぎるあまり閉塞感に覆われる。それを打開するためにどうするべきかというのは過去に新しいことをどのようにしてやったのかというのを学ぶ。温故知新という四字熟語があるが本書はそのことを言っているのではないのだろうか。本書は競馬の前例について述べたまでであるが、こう言ったことを学ぶと考えると競馬界のみならずどこの世界でも学べるものであろう。本書はそう言ったことを教えてくれる。

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