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これでいいのか日本 戦後60年の失敗

これでいいのか日本 戦後60年の失敗 これでいいのか日本 戦後60年の失敗
上坂 冬子

大和書房  2007-08
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1945年8月15日、日本がポツダム宣言を受諾して玉音放送が流れておおよそ63年と半年が経過した。この間日本政府は数々の政策や外交を行ってきた。しかし今、日本はよくなっているのかと言うと、良くなったところもあるが、悲しきかな悪くなったと言う声が強い。それに経済的・政治的にも「年々悪くなっている」と言う声がが大多数だと思うが、それはいつものことであろう。新聞や雑誌では毎年、歴代総理誰しもを批判、非難している。賞賛しているのはそれを支持している雑誌くらいであろう(新聞はまったくないと言っていいくらいである)。
本書はこの約60年間の政策の失敗をジャーナリストの上坂冬子氏が舌鋒鋭く批判している。
第一部「新憲法、ねむれる世論が問題だ」
1947年11月3日に公布し、1948年5月3日に施行された日本国憲法。見てわかるとおり昨年施行60年となった。この日本国憲法は第9条をめぐって論争が絶えないほか、アメリカの押し付け憲法と言う声もある。私は改憲は行われるべきではあり9条はともかく、恩赦や生存権と言ったものの改正も行われるべきではないかと思っている。本書で指摘している点は「第9条」「第24条」である。本書の最初では婚姻にまつわること(24条)については明治時代に条文化された旧民法750・772条を挙げて指摘している、第9条は永世中立国のスイスを上げて批判している。
他にも改憲論者いじめや少子化といった問題まで言及している。上坂氏は少子化問題は主立って取り上げる必要がないとしているが、私もそのとおりだと言いたい。確かに日本の人口は減少しており、これからどんどん減っていくが、これは大量生産大量消費時代で数多くの人手を要してばかりいた日本経済の構造の甘さを露呈しているとしかいい様がない。さらに言えば結婚をしなくとも何でも自由に暮らすことのできる日本の現状がそうさせているのは周知のとおりである。少子化を憂いて今のように産めよ殖やせよの政策を行うべきなのか、少子化だからでこそ日本の構造をそこにシフトしていくべきか、私は後者を推し進めるべきである。
第二部「気迫なき教育論議」
昨今では「学力低下」「モンスターペアレント」「いじめ」といった教育問題が後を絶たない。本書で扱う教育問題は「教科書問題」「性教育」「いじめ」を扱っている。
「教科書問題」は近隣諸国との歴史認識問題やロシアとの北方領土問題、アメリカの歴史観と言ったものまで言及しており、私の世代で走ることのなかった「ちびくろ・さんぼ」母取り扱っている。
「性教育」はインド・スウェーデンを例にあげて今の日本の「性教育」の不道徳さを糾弾している。
「いじめ」については、「いじめられたほうが悪い」と一貫しており、いじめや殺人事件の後のカウンセラーに頼るのも否定的な構えである。
第三部「自衛隊は自衛軍か、それとも国軍か」
田母神論文問題で自衛隊の現状がさらにクローズアップされたが、私自身田母神論文は個人的な思想までを文民が制約させるほど危険なものはないと思っている。それにもし田母神論文がその懸賞で最優秀賞に輝くどころか落選していたら同じように扱っていたのかと言ういささかの疑問をもってしまう。これの詳細は「WiLL」の1月号にて詳しく扱われているので参照されたい。
日本では憲法9条により軍隊を持つことを禁じられているが、1950年の朝鮮戦争を機にGHQの命令により「警察予備隊」というのが結成された。やがて「保安隊」と名称を変え、1954年に今の「自衛隊」という名に落ち着いた。
本書では海上自衛隊にスポットを当てている。著者自らの取材によって海上自衛隊について、そして今の国防の現状について生々しく書かれている。
第四部「いったい、北方領土は何なのだ」
本書、もとい著者の主張の中で最も根幹にあるのはここであろう。その理由にあるのは著者の本籍にある。著者の本籍は「北海道国後郡泊村大学泊村字ウエンナイ一番地」である。つまり著者は国後島に本籍を持っているのである(ただしそこに家があるわけではない、北方領土問題を訴えるべく、あえて本籍をそこにしたのである)。北方領土問題については過去に散々取り上げてきたので、ここでは簡単に取り扱うことにするが、まず北方領土へビザなしでわたれるのかと言うとまず無理としか言い様がない。今北方領土には日本人は居住しておらず、ロシア人が1万7千人住んでいると言われている。北方領土へ渡るにはビザを取り、モスクワからサハリンを経由していかなければならないと言う、読んでいるだけでも面倒でくたびれるような移動を行わなければならない。
本書では他にも2006年10月に起こった「ロシアによる日本人漁師殺害事件」を重点的に取り上げている。この殺害事件については既に風化していると言うのを憤ると同時に北方領土問題の無関心さを嘆く気持ちであった。もっと言うとプーチン首相が2015年から北方領土のインフラの開発を行うと発表したことから、北方領土問題は早急に取り掛かるべき問題のひとつと言える。
第五部「歴史認識より時代認識」
歴史認識問題や愛国心について取り上げている。特に後者については2006年に教育基本法が改正されたが、その中で「愛国心」が盛り込まれているところを抜粋して載せられている。
本書全体を読み通すと戦後60年以上にわたって日本の政治は一体何をしてきたのかがわかった気がした。戦後からこれまで政府は池田勇人内閣における所得倍増計画をスローガンに、国民は豊かになろうと馬車馬のように働き経済的にも潤った。しかし国際関係や歴史認識といったものは行ってはきたものの肝心の領土問題はほぼ置き去り状態であった。さらに歴史認識問題なども暗い影を落とした。それが今世界中に蔓延っていると言う始末である。戦後60年戦争を行わなかったことにより、日本の国民性及び政治的にも「現状維持」もしくは「変革を求めない」といった風潮が蔓延している。「真の日本人」とは何か、これからの政策はどう改革すべきなのかと言うのを考えるのは未来永劫の必須条件である。確かに景気が急速に悪化しつつあり先行き不安とされているが、混沌の時代だからでこそ失敗を見直し、手を打っていく必要を迫られている。

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