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サンタクロース学

今日は「クリスマス・イブ」である。仕事と書評に生きる私にとっては無縁のことであるというと、何かさびしい気が起こるので、私情はここでおしまいにしておく。
本書のタイトルを見ると一見不思議な学問である。サンタクロースを学問としているのだからクリスマスとサンタクロース、それをどのようなことを考察しているのだろうかという興味を抱き本書を手に取った。ちなみに本書は「哲学の学校」シリーズであることを見ると、何やら難しそうな感じがしてならない。
第1章「サンタクロースの変遷と文化的意味」
明日12月25日がクリスマス。イエス・キリストの生誕日でありこの日にキリスト教会では「降誕祭」というのが行われるが、これについて諸説はあり、本書でも取り上げられているが、これはイエス・キリストの誕生自体にかかわることであり宗教色が強いためここでは割愛する。日本ではクリスマス・イブとクリスマスがそういったことなのだろうと思いがちであるがキリスト教ではクリスマス前後に成人の祝祭日がたくさんある。
11月1日の「諸聖人祭(万聖節)」から始まりクリスマスに向けて本格的に動き出す12月6日の「聖ニコラスの日」、クリスマス・イブ、クリスマスで終わりかと思ったら大間違いで、翌年の1月6日の「公原節」、2月2日の「キャンドル・マス」でその年のクリスマスは終わるという。1年のうち約3か月もの間クリスマスが絡んでくるというから、日本でこう言うのをやったらもしかしたら「毎日がクリスマス」というような状況に陥るのかもしれない。しかしクリスマス一色となるのは宗教色がそれほど多くなくても12月6日とされている。サンタクロースが出てくるのもちょうどその時期である。それに対して日本は早くても10月下旬にはクリスマス一色になる。これについては商業的目論見が強い。しかもそれは日本ほどではないにしても世界中でそういった風潮が起こり、今年の12月8日にはローマ教皇のベネディクト十六世が強い懸念を表明しているほどである。
サンタクロースの話であるが、世界共通して赤い帽子、赤い服、白いひげの老人姿に白い大きな袋と言ったものであろう。しかし世界中を見渡したらサンタにもそれぞれの国々で違っている。ドイツでは「クランプス」という双子の怪人でありよい子にはプレゼントをし、悪い子には御仕置きをするという何とも秋田のナマハゲに似ている。ロシアでは「ジェド・マロース」という青い服を着た人を指している。サンタにもいろいろな種類や根源はあるが、私の故郷旭川には「サンタプレゼントパーク」がありそこではサンタクロースの根源などが開設されているコーナーがあり勉強になった。ちなみにこの本でも参考にしているという。
第2章「児童文学・絵本におけるサンタクロースの研究」
児童文学や絵本においてサンタクロースはたくさん出てくる。おそらく本書の核となる部分はここであろう。本書ではこういた児童文学や絵本に出てくるサンタについて以下の6種類に分けている(p.98より)。
・「聖人サンタ」
・「異類サンタ」
・「人間臭いサンタ」
・「はてなのサンタ」
・「現実的なサンタ」
・「社会派のサンタ」
よく日本で言われているサンタはこの中でも「聖人サンタ」の類に入る。善いことを行おうが悪いことを行おうが平等にプレゼントがもらえるいわば「性善説」のサンタである。
「異類サンタ」は人形や宇宙人であるという。理解し難いように思えるが、多くの本でも空からトナカイを引いて子供たちの家にやってくるというから分からないでもない。
「人間臭いサンタ」は現実論でのサンタである。「本当にサンタさんはいない。お父さんがサンタさんなんだ」というようなものである。こういう作品もあると考えるといろいろあるのだなと逆に興味を持ってしまう。
「はてなのサンタ」はサンタクロースが生存するのかどうかわからないところからはじまり、「現実的なサンタ」はそこから生活に取り込むというものである。
「社会派のサンタ」はサンタの口を借りて社気の問題意識やメッセージを語るという作品である。ここまで来ると児童文学や絵本なのかというのを疑ってしまう感じになる。ただ存在すると考えるといささかそれらの作品を疑いたくもなる。
よく子供たちが見たサンタの絵本や本を考察するのが主としておりそういったところにページ数が割かれているところが私としては期待外れであった。ただしサンタに関連した作品については興味深く書かれていたことはなかなか面白かった。
それと余談であるが本来クリスマスであれば12が25日が盛り上がっていいはずなのだがなぜ12月24日のクリスマス・イブが最も盛り上がるのだろうかというのが不思議でならない。もしかしたら「これからクリスマスだ」という感情があるからでこそ盛り上がるが、本来盛り上がるべきところが盛り上がっていなければ本末転倒ではないだろうか。

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