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メディア進化社会

メディア進化社会 (Yosensha Paperbacks 28) メディア進化社会 (Yosensha Paperbacks 28)
小寺 信良

洋泉社  2007-05
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本書はメディアの変遷と進化を5章に分けて考察を行っている。
第1章はメディア論について。ここでは電子書籍の不振や大手マスコミのネット取材の現状、そしてコンテンツ配信について書かれている。まず電子書籍についてであるが諸外国では進んでいるのに対し日本ではそれほど進んでいないことも現実である。とはいえ日本でもニンテンドーDSにて電子書籍が出回っており唯一の救いといってもいいかもしれないが、文学作品しか出回っておらずそこから範囲を広げることが課題と言えよう。コンテンツ配信については最近では音楽配信についての現状について書かれているが、日本には著作権の軋轢が諸外国と比べて大きい。これについては最終章に書かれていたのでそこで紹介する。
第2章はTVについてである。偏向報道やメディア・スクラムについてであるが、ここでは執拗な視聴率主義により事件やその周りにいる人たちを客寄せパンダならぬ「視聴率寄せパンダ」という格好の標的にしているという。さらには現在クイズ番組も乱発しておりおバカキャラも多く出ており、アーティストとしてシングルを出すなどしている。しかもお笑い芸人を起用している番組も多い。これには制作局側の予算削減を意識しているのが露骨に現れてくる。これも確かには一理はあるものの、著名な論客の中にはこういう状態を憂う人もいる。とはいえお笑い芸人に限らず昔のバラエティ番組には人気のある噺家も登場していたということを考えると今ほどではないけれどもそのような傾向は今も昔も変わらないという考えも捨てきれない。
第3章はネット論。ここではブログやネットに現れる文の傾向について着目したい。ブログについても分についてもいえることであるが長文になるものが少ない傾向にある。また、文章として成り立っていないものが多いと著者は言っている(例えば主語がないなど)。しかし文章というのは簡素になることは重要であるが、それ以上に文章として書き続ける力を身につける場でも使える。実際私も書評を通してそうしているが、1年以上やっているのにもかかわらずこんな状態になっている。もっとうまくならなければと思っている。
第4章はオタク論について。ここでは澤口俊之氏の「平然と車内で化粧する脳」をベースにして考察を行っているため岡田斗司夫氏のオタク論とは一線を画している。一線を画しているとはいえ支店のことであり、その過程に行き着く到着点はほぼ同じだった。しかし「中国人や韓国人もオタクにならなければならない(p.181)」とあるが韓国人は分からないが、中国人についてはもうオタクになっている人が多い。これについては「中国動漫新人類」にて紹介されているのでぜひご覧になったほうがいい。
最終章は著作権についてである。現在ではようやく緩和され始めているとはいえ、まだ業界や組織の軋轢により著作権の抜本的な緩和が進んでおらず、それどころか著作権料の配分が値上がりしている。現に「ダビング10」が導入されているがアメリカのCATVでも地上波でもHDD等の録画装置により何度でも録画ができるが、日本ではそれが不便にできている。これも著作権がネックとなっている。またアニメをはじめとしたTV番組のコンテンツ配信は進んでは来ているもののいまだに進んでおらず、こちらも著作権を盾にして配信させないというところが多い。TV局では過去に放送されていたものをマスターテープにして保存を行っているため過去の放送をコンテンツにして配信できようと思えばできるのであるが、視聴者の要望にこたえられるだけの器量があるのかと考えると疑わしいのも事実である。軋轢の解消と諸外国の理解、そして視聴者と著作権側の歩み寄りがない限りこの問題の解決は無理とも言えよう。

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